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2012年08月28日

知床半島東岸 〜風に吹かれて〜

知床峠を越えて疲れた僕の足には「上り・向かい風・下って上り」という
このパターンがボディーブローのように効いてきた。

そして3つめの集落に下ってまた上るその時には勢いをつけたはずなのに
坂の途中で全く進めなくなってしまった。
そしてついにその場にしゃがみ込んでしまったのだ。

タイムリミットを考えると不本意ながら、休憩することにしたのだが、
ふと気が付くと『乗せてくれそうな軽トラック』を無意識に探している自分。

いやいや、それはちょっと情けないぞ。
そう思ったとたんによろよろと立ちあがり、またペダルをこぎだした。

さぁ、あとどのくらいの距離があるんだろう。
あぁしんどい・・・足が重い・・・。

この頃から僕の中で一つの妄想がふくらみ始めていた。
「もしかしたらあの『標津』というのは根室標津駅のあるところじゃなく、
中標津のことを指しているんじゃないかなぁ・・・・」
ここでちょっと説明だが、根室標津駅から中標津駅までは22.3qある。
 つまり、上記の妄想が事実なら根室標津駅を目指していた僕にとって、
 ものすごい距離の短縮になるのだ。


その直後のことだった。
前方から同類の人らしき自転車少年が走ってくるのが見えた。
「あ、あの人に聞いてみよう。」

「あ、すみません。根室標津の方から来られたんですか?」

「そうですけど。」

「根室標津の駅はここからどれくらいですか?」

「あぁ、そうですねぇ、(時計を見る)。
一時間くらい走ってきたから、それくらいで着くかな。20qくらいですね。」

「あ、ありがとうございました。・・・(落胆)」

そう、やっぱり『標津』=『根室標津』なのだ。
そして、ここからまだたっぷり1時間は走らないといけない。

僕はとにかく進みだした。
トンネルに入るとき、対向車の大型バス「BIG SNEAKER」号とすれ違ったが、
その風圧でさえも僕の行く手を阻んでいるように感じられた。

トンネルの後、ようやく「長い下り」が1qほど続いた。
でも、もう限界近い体力の僕には回復という文字はなかった。

この後の平らな道も上りに見えるほど。
必死に立ちながらペダルをこいだ。
残りは12qという表示が見えたが、上り坂に面してついに歩道に倒れ込んだ。
意識はまだあり、腕時計のタイマーを3分にセットした。「3分だけ寝よう。」

この3分間にたくさんの楽しい夢を見た。
走馬灯の様に・・・なんて言葉があるけれど、「これがそうか」と思った。
それにしても、歩道に寝転んで眠り込んだのも夢を見たのもこれが初めてだった。

3分後、僕はあと3分だけ寝ようと再度セット。
そして3分後に起き上がり、再びこぎだした。
そう、この上り坂から再スタート。何とか上りきって進んだ。
残り10q、9qと、進むのがとにかく遅い。

根室標津駅を出る列車は、僕がここから先を30q/h以上のペースで
進まない限り乗ることができない状態になっていた。

「まぁええわ。とにかく進むだけや。」

そうして残り4qまで来た。   が・・・

ここでもう一度倒れた。進めなくなって、崩れ落ちるように。

ここが歩道であることだけはわかっていた。
でもあとは何もわからず、タイマーをかける余裕もなく眠り込んだ。


しばらくして近くを走るバイクの音がけたたましくて目が覚めた。
僕の目の前には飲み物の自販機があり、僕の目には四つ葉牛乳が。
まっしぐらにそれを購入し、一気に飲み干した。
まだ足りず、もう一本買って飲み干した。
そして、大きく深呼吸した。

立ち上がって初めて気が付いたのだが、その場所はレストラン(喫茶店?)の前、
その自販機の前だったようだ。

時計を見ると以外にもそれほど経過しておらず、まだ日も落ちていなかったので、
このレストランで腹ごしらえすることにした。
中に入ってみると小奇麗な店内。
メニューには「牛乳を1杯サービスします」と書かれている。
そして、注文する前に店員さん(オーナーさんかも・・・)が出してくれた。
その場でまた一気に飲み干し、ラーメンを注文した。
すると、「もう一杯いかがですか?」と言って牛乳をついでくれた。
(合計4杯。僕のお中には1L近い牛乳がこの時入っていたのだ!)

ラーメンはとにかく美味しかった。
ご飯もサービスしてくれた。
店内には他のお客さんがいなかったからか、
先ほどの店員さんがニコニコしながらいろいろ尋ねてくれた。
僕は旅行行程を振り返るようにしていっぱい話した。

そして、「少し横になって休んでいっていいよ」と言ってくださったので
端っこの方の畳のスペースで休ませていただいた。
エアコンのせいか、ちょっと寒くて目を覚ました。

本当にありがたかったこの時間、僕は感謝を告げて店を後にした。
お店にサングラスを置いてきてしまったことだけは残念だったが、
このお店の方には感謝の気持ちでいっぱいだった。

さぁ残り4q。
僕はクールダウンした身体で流すように走り、
やっとのことで根室標津駅に到着した。

こうして無鉄地帯の旅を終えることができた。
さぁ、これから鉄分補給!

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posted by smilykaz at 22:22 | 東京 ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 高3北海道鉄道旅行 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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