後に世界遺産に指定された知床半島の名所のひとつだから、
こうしてエンジンを止めて静かに眺められてよかったとつくづく思う。
そうして、僕にとってはサプライズの観光を終えて、バスは走り出した。
知床に関するガイド音声のカセットテープを流しながら進んだ。
その案内によると知床峠の標高は738mだという。やっぱり結構高い。
「出来ればこのバスである程度の高さのところまで連れて行ってほしいなぁ。」
そんなことを思いながら最前列で前を見ていた僕だが、期待は裏切られた。
バスはまた坂道を下って海岸が目の前という位置まで下りてきてしまった。
そして観光客でにぎわう場所にやってきた。
ここは知床秘境の玄関口の街、ウトロだ。ウトロ温泉も賑わっているようだ。
白亜の灯台、宇登呂崎は僕の好みのとてもきれいな灯台だったが、
昨晩の疲労と目の前のプレッシャーでちょっとうわの空で眺めてしまった。
ウトロバスターミナルで小休止した際に本物のバスガイドさんが乗ってきた。
いかにも大ベテランという感じのガイドさんだった。
そして、僕の輪行袋を見て、「お荷物、こちらの席に置いて下さっていいですよ」
と声をかけてくださってありがたかった。
バスはゆっくりと知床半島の奥へと進んでいく。
もう一つ白亜の灯台を見て、ほんの少し坂道を上がり始めたバスに淡い期待。
しかし、まだあまり進まないうちに、バスガイドさんがマイクを手に持って言った。
「間もなく知床峠入口〜乙女の涙〜です」
こうして、標高を稼ぐこともほとんどなくバスを降りることになった。
バスは止まり、降りようとしたとき先端の出口は狭くて輪行袋を降ろすのに苦労。
でもバスガイドさんが手伝ってくださって事なきを得た。
おばさん、いやバスガイドさんありがとうございました。
さぁて、目の前には700mほどの上り坂が立ちはだかっている。
は〜〜〜。
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